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コラム 毎週木曜21時更新

2017年5月4日  得意不得意(3)

今回は「形式」ではなく問題ジャンルにおける得意不得意の対策について講義してみよう。(いつから授業に?(笑))
ウソウソ。講義ではなく単なる僕の考え方ね。まあ講義みたいなもんなんだけどさ。(引き続きちょっと関東人入っています)

クイズ問題のジャンルでの得意不得意は誰にでもある。で、これが案外重要視されていたりする。「不得意ジャンルはどうしたらいいですか?」的な質問も少なくない。
しかしながら僕的には、クイズ問題、とりわけ早押しクイズにおいての不得意ジャンルは「無理に克服しなくてもよい」が結論だ。

このシリーズの(1)で「形式」での不得意がある場合は、ゼネラリストになるには何とかしないといけない、みたいなことを書いたけど、むしろゼネラリストを目指すべきである「早押しクイズの問題ジャンル」に対しては全く逆のことを提示するわけだ。これはどういうことか。

勝負においては「ジャンル」と「形式」とでは、より大きなくくりは「形式」ということになる。当たり前。これを野球に例えると、「アウトコースは苦手」と「左投手は苦手」という差になると思われる。

早押しクイズにおける問題ジャンルの得意不得意は、野球の打者にとっての得意コースと苦手コースという程度なのだ。確かに微妙な局面では大きい差が生まれるかも知れないが、しかしこれは絶対に乗り越えられないものではない。僕も息子も打者としてはインコースが大好物なんだけど、それでも打てない、打ち損じるインコースの球もあれば上手く弾き返せるアウトコースの球もあるわけだ。
しかしたとえば「左投手は苦手」というものはその打席中ずっと続くことから、事の深刻さに違いがあるのがわかる。そいつが完投しようものならその試合中ずっと苦手意識が続くことになる。もちろん、それであっても絶対に乗り越えられないものではないんだけど。

クイズに置き換えると、早押しクイズにおいていくら「自然科学問題は苦手」といっても正解できる問題が1問もないというわけではないはずだし、〇×が苦手といっても正解は重ねることはできる。どちらも絶対にダメということはない。しかしながら事の深刻さは後者の方が比較的大きいという話なのだ。

ただし「1日800問」みたいに問題を相当数答えている人は、心配しなくてもすべてのジャンルで満遍ない基礎力がついている。あなたの知識量は最低限ながらも十分戦える武器にはなっている。そこは安心して先に進んでほしい。

ではここから、不得意ジャンルは克服しなくてもよい、ということを掘り下げてみよう。

まずは、早押しクイズの勝負の現場で、自分の不得意ジャンルの問題が出題されたらどうするべきか、を具体的に考えてみる。

何をおいても大事なことは、「それでも正解を探る」という姿勢をキープすることだ。

これねえ、当たり前の話なんだけど、結構できていない人が多いのよ。
若手の連中で、こいつがこの先、大ブレークするかどうかって、実はここが見極めどころの1つだったりする。しかもちょっとした仕草でわかるものだから面白い。

早押しクイズの勝負って、シンプルに問題と対峙するだけではない。問題に対してのみ考えるのはペーパークイズであって(それでも例外はあるけど)、それ以外の場合はいくらでも「手」はあるのだ。
たとえば解答権が2着以下にもある場合なら先に押した解答者の誤答がヒントになる場合もあるし、1人解答権のスタイルであってもシンキングタイム中に出題者側がヒントを言ったり、隣の奴がブツブツ独り言を言ったり、下手したらギャラリーが何かこそこそ話をしているのが聞こえることも実際にあることはある。

つまり早押しクイズにおいては、あくまでも正解なり不正解なりスルーなり、それに応じたチャイムやブザーが鳴って初めて1問が完結するわけで、その瞬間まではすべからく「正解を求める」姿勢でないといけない。

だったらどんな仕草でそれがわかるのか。
これは、ボタンから指が離れているかいないか、なのである。

ボタンを持っていない側の手がハンカチを持って汗を拭こうが、派手な振りで注目を集めようが、ボタンを持っている指は決して離してはいけないのだ。

これ、簡単なことなんだけど、そいつがテンション高く正解することを最後まであきらめていないかどうかが一目でわかる重要な仕草なのだ。

このコラムはクイズ界隈でもあまり読まれていないと思うので、これを読んでいるクイズプレーヤーのみなさんは次の大会なり例会なりでちょっと確認してみればいい。難問やひねった問題でスルーになりかけるときに、指を離す人は必ずいるから。腕を組んだり汗を拭いたりね。そいつはすなわち「最後まで正解を追い求める」という姿勢が乏しいプレーヤーなのだ。

ではあなたはどうか。勝ちたい人なのか?適当に楽しみたい人なのか?前者だったら、どんなことがあってもボタンから指を離さないように心がけることだ。

僕がまだ20歳過ぎぐらいのころ、これを年上のクイズマニアの方に褒められたことがある。東京で行われたある大会に遠征したとき、早押しをやっていて難問だったのか何だったのかは忘れたが、出題後のシンキングタイムで僕も含めたみんなが椅子の背にもたれたことがあった。しかし僕だけは右手をそのままにしていたところ、運営側にいたその人が「長戸君だけ指を離してないでしょ。見習いなさい」(東京の若手に言ってるので、こういう表現になる)みたいなことを言ってくれたのだ。これは本当に嬉しかったし、ちゃんと見ているその人もすごいと思った。

とにかく、どんなことがあってもボタンから指は離してはいけない。
こういう簡単なことも、クイズ界では先輩が後輩に教えない。まあ先輩と称される人にその発想がないから伝えようにも伝えられないんだけどね。残念で情けない話ではあるが。

話は戻って、不得意ジャンルが出されたときの対処の2つ目。
それは、「気にしない」ということだ。

たとえば、「ここで映画問題かよー」とか絶対に思わないことだ。

その理由は2つ。1つは、そう思った瞬間に能力の扉が閉まってしまうから、もう1つは、自分の得にならないから、である。

「能力の扉が閉まる」は、これだけで1つの大きなテーマになるので改めてコラムで書こうとは思うが、かいつまんで言うと「気分が能力を左右させる」ということだ。「気分で能力が左右する」でも間違いではないんだけど、これは一段階レベルが低い話でちょっと違う。

「自分の得にならない」は、クイズの勝負における重要なテーマだ。早押しクイズではこの考え方が非常に大事なので、僕も事あるごとに持ち出している。
この場合であれば、「ここで映画問題かよー」と思うことは、自分にとってのみマイナスの感情であって、他のみんなにとってはプラスでもマイナスでもない。もしあなたの苦手ジャンルが相手に知られていたら、下手したらプラスの感情さえ与えてしまう状況となるはずだ。

ちなみにさっきの「ボタンから指を離す」も同様である。ボタンから指を離してしまうのは、決定的なヒントを聞いた時にヨーイドンとなるのに、出遅れるのは自分だけ、という状況を生む。やはりこれも「自分の得にならない」である。

とにかく不得意問題が出題されても気にしないことだ。正解できなくても、はいはいお次をどうぞ、というぐらいに流すのがいい。

不得意ジャンルへの対処、3つ目。
それは「どうしても相手にポイントをやりたくない場合は潰す」である。

これは形式上の制約や、状況によってはやりたくてもやれない、やってはいけない、というものではあるが、勝負のテクニックの1つとして紹介しておく。

簡単な話で、相手に正解を1つ積み重ねさせるのではなく、わざと間違えて自分の得点を1減らすという、「肉を切らせて骨を断つ」という方向のものだ。
挽回には2問必要なので、よほどの状況と自信がないとできないけど、僕でも数年に1度のペースでこの展開が目の前にやって来る。

荒唐無稽のように見えるこの作戦、実は場合によっては違う意味で遂行しないといけないものではある。それはどんな状況なのか。それはこのシリーズの最終回である、次回に書くことにする。

特殊なケースである3つ目を除いて、1つ目も2つ目もいずれも、早押しクイズの問題に対峙するに普遍的に必要な心得であって、特に「不得意ジャンル」に対するものではないことがわかる。ここからも不得意ジャンルに必要以上の意識を持っていくことに意味がなく、不得意ジャンルがあなたにとって思いのほかマイナスをもたらすものではないこともわかる。

さてこのシリーズではあと1つだけ、どうしても伝えておかなければいけないことがある。(遺言みたいだな)
しかしながら、今宵はここまでに致しとうござりまする。って古いか。

ではまた来週の木曜日。




コメント(12)

“得意不得意(3)” への12件のフィードバック

  1. パスカルの三角形 より:

    こんにちは。五月に入り、いい季節になりました。
    横浜での生活には慣れましたでしょうか。京都のように少し出歩けば世界遺産というわけにはいきませんが、こちらでも素晴らしい人や物にたくさん出会えるとよいですね。

    さて、連休中に思い切ってクイズの大会に参加してみました。
    早押し機から指を離さない、苦手な分野でも諦めない(問題文の途中から変化球になったこともありました)ということを心掛けて臨んだら、自己ベストの成績が取れました。ありがとうございます!

    野球に譬えて授業をしてくださるのは、とてもわかりやすいです。私はこのコラムを「クイズは創造力<21世紀編>」だと思っております。遺言だなんて!冷凍保存されるにはまだ早いですよ。

    • Nagato より:

      メッセージありがとうございます。
      ヨコハマの生活にも慣れてきました。ブルーにはならずにライトにチークに追いかけています。そうだ、僕のラッキーナンバーはいれぶんだな。

      クイズ大会に出場したのね。自己最高はすごい。これからも頑張ってください。
      コラムは『創造力』の新篇のつもりで書いているように見えて実はそこまでちゃんとは書いていません(笑) 思いつくままに気軽に書いているだけです。でもそう思ってくれるのは嬉しいですよ。ありがとう。

  2. どろかば@hippomud より:

    この曲知らねえや、ってか嫌いなタイプの曲~

    って思ったらボタンから手を離しちゃうタイプのなんちゃってプレイヤーですww耳と気持ちの緊張を弛めたいと思っちゃう。

    • Nagato より:

      メッセージありがとう関口。いや、どろかばさん(もうバレてるっての)

      なるほど、緊張の緩和ね。それでリフレッシュする場合もあるっちゃあるか。
      僕の場合は登山の考え方を採用してた。休憩は完全に腰を下ろすんじゃなく岩場に寄り添う形で休むってアレね。それにやっぱりヒントへの出遅れが怖かったかな。まあ今では適当にクイズしてるからその辺も適当なんだけどね(笑)
      とはいえお互い定期的にプレーしないとどんどん劣化して行ってしまうよなー。機内1位も2位もそういう年齢になったのだ。

      • どろかば@hippomud より:

        そこで「1位」と「2位」の劣化をイッショクタにしちゃあいけませんよww元のラベルが違い過ぎる。俺ゃあの頃、(二度の)就活でインフレしてただけ。
        劣化どころか、悪いところが全然直ってない。これ、11日ののコラムのネタに通じるけど、イントロやってて知ってる曲だと思うと反応しちゃって、最後の最後、自分の中での「さて曲名はこの2つのうちどっち?」という分岐点で逆を答えちゃう。劣化というよりは、欠点が増幅してるね。ダメ。

        ↓のコメントにあるけど、ボルティモアの休憩はまさにボタンから手を離してしまったようなもんで、制作者としては絶対やっちゃいけないことだったんだよなぁ…

        • Nagato より:

          メッセージありがとうございます。って関口、いや、どろかばか。

          ボルチモアの休憩は異例中の異例だったんだと思うよ。話しかけてきてくれたスタッフはみんな楽しそうにしてくれていたし、トメさんもとても嬉しそうだった。何をやっても「馴れ合い」をしない連中だってことをわかってくれたんじゃないかな。実際再開したときも僕や永田さんは同じテンションでクイズをやってたし。
          でも、田川さんはどうか知らないけど、秋利は休憩で緊張の糸が切れたみたいなことは言ってたな。まあスポーツの試合でも雨で中断ってのはあるわけだからそれはそれとして仕方がないと思うんだけどね。
          どろかばは放送局勤務だから制作者サイドから見てしまってそう思うのも無理はない。でもゲーム中にスタッフと親しげに話をするってのは僕らサイドからしてみると滅茶苦茶貴重な体験だったわけからアリだな。

  3. ろう人形 より:

    初めてコメント書かせていただきます。
    今回の「講義」は普段クイズをしていない私の心に刺さりました。
    早押しクイズについて書いてありますが、日常生活にも当てはまりますよね。
    サッと諦めてたけども、集中切らしてなければどうにか出来てた事って割かし多い気がしてきました。
    苦手意識も自己暗示みたいで、結果として悪循環に自ら陥れているところもありますし。

    クイズはスポーツというよりも武道に近いんですかね。

    今回のコラムを読んで、背筋を正してみる決意を固めました。
    これからも楽しみにしています。
    ありがとうございました。

    • Nagato より:

      メッセージありがとうございます。
      そんな、背筋や姿勢を正したりするきっかけにしなくても大丈夫です(笑)秋利のように適当に読んでください。

      クイズはスポーツと僕はよく書きますが、本当のところは武道のつもりでやってました。日本の野球が「野球道」と呼ばれるようなこともあるけどその方向の武道ね。「体を動かすこと」に「楽しみ」が加わると「スポーツ」に、「哲学」が加わると「武道」になる、と僕は考えてますがどうでしょうか。
      「第13回」のボルチモアの戦いではあまりの長丁場になったので途中休憩が入ったんだけど、そのときMCの福留さんが僕らの方に来られて、「剣道の試合を見ているようだ」と言ってくださいました。この言葉は今でも僕にとってはクイズのプレーにおける最大の賛辞です。

      こちらこそ、これからもよろしくお願いします。ありがとうございます。

  4. あられ より:

    長戸さんこんにちは~あられでーす
    橫浜ライフはいかがでやんすか。

    「ボタンから指を離すな」と私もある人からアドバイスを受けました。
    天5に出るため必死のパッチで対策をしていたとき、苦手ジャンル(であろう)問題が読まれたとたんに「あ、これはきっとムリ」と指を離す私がいました。
    いま思えば「何のアピールやねん!」なんですけど。
    それをみたSくんが
    「最後までボタンから指は離してはダメです。問題のフリでわからないと思っても最後まできけばわかるかも知れないですよ。」と。
    あのとき、優勝めざし「やる気元気井脇」は人一倍だったにもかかわらず、無意識にそんな試合放棄みたいなポーズをしていた私。
    それに気づかせてくれたサトヒロ(名前言うてるし・笑)には本当に感謝しています。

    指を離さない、ということを意識したら
    「ここで××問題かよー」も一緒に克服できました。
    「スポーツ問題のフリだけど、ひょっとしたら落語の演目をきかれるかもしれない」
    「世界史問題のフリだけど、ひょっとしたらダジャレ問題に変換されるかも!」
    指を離さず、小さな希望をもって一問一問臨んでいます。

    また一緒に遊んでくださーい(^o^)

    • Nagato より:

      メッセージありがとうございます。
      ってあられかよ。

      晩夏の大阪で開催される上方落語協会のイベント「彦八まつり」では、ここ2年ほど僕はクイズの出し物で参加させていただいていますが、そのときアシスタントを担当しているのがアマチュア落語家にしてクイズプレーヤーの「あられ」ちゃんです。こう見えて「アタック25」でも地中海クルーズに行ってるのです。

      そうかー、佐藤が(名前漢字で出してるし)そんなこと言うてたか。さすが上方クイズ倶楽部部員や(笑)
      「スポーツ問題のフリだけど、ひょっとしたら落語の演目をきかれるかもしれない」は最高やな。せやね、可能性はゼロやないもんなー。

      これからも「やる気元気猪木」で頑張って頂戴。またそっちで遊びましょう。

  5. サトヒロ より:

    Sこと佐藤ことサトヒロです。呼ばれた気がしたので出て参りました。

    京都から横浜へのご旅行(出張?)、いかがお過ごしでしょうか。

    「指を離すな」の件、偉そうにアドバイスしちゃってましたね。
    その時は、最後まであきらめないという事だけでなく、チームメイトへの士気という意味も込みで言ったと思います。

    というわけで、またいつかヒリヒリするような大掛かりなチーム対抗戦とかやりたいですね。

    • Nagato より:

      メッセージありがとうございます。って今度はサトヒロか。

      超長期旅行はじわじわなじんできてるよ。でもそろそろお腹一杯になってきました(笑)

      大掛かりなチーム対抗戦って前みたいなデカいイベント?
      次にチャンスがあったらMCではなく解答者として参加してみたいね。(と心にもないことを書いてみる)

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